2023年開催分終了!にちようマーケットの5年間を振り返る

こんにちは、隼Lab.で月に1回開催するマルシェ型イベント「はやぶさにちようマーケット」(以下、マーケット)の企画者であり、運営を担当している、隼Lab.コミュニティマネージャーの諸岡です。昨日、今年最後のマーケット開催を終えて、ほっと一息ついたところ。正直まだ疲れが抜けきれていませんが、熱が冷めないうちに、5年目を終えたマーケットのこれまでを振り返りたいと思います。


目次

  • 5年間を経て、マーケットはどう進化した?
  • 企画者・運営者として、目指してきた風景
  • 続けること、マーケットのこれから

5年間を経て、マーケットはどう進化した?

はやぶさにちようマーケットを初めて開催したのは、2019年5月5日。GWを盛り上げようという思いつきから始まり、準備期間はかなり短かった記憶です。当時はまだ私自身が鳥取に引っ越して来たばかりで、近隣で活動されている出店者さんとのつながりもほとんどなく、人づたいに紹介していただいた出店者さん、たったの3店舗での開催でした。

急な出店のお願いに快く協力してくれたのは、竹灯篭屋さん、浜根農園さん、私の以前からの友人である帽子屋UKIYOさん。規模にしたらとても小さなスタートでしたが、「3店舗から始めた」ということはその後、コロナで開催を数回中止にしたり、企画に対して悩みを持った時に、ふと原点として思い出す大事な一歩になりました。

その後、改めてマーケットを定期開催することになった最初の目的は、「(当時ビジネスのイメージに偏っていた)隼Lab.に、文化的なコミュニティや、スモールビジネスが関わる機会を作る」というものでした。最初のうちは、他のイベントに出向いて出店者さんをスカウトしたり、SNSを使って出て欲しい出店者さんにDMを送ったり、お店に伺って直接交渉したりと地道な出店者集めを続けながら、お客さんに対しての認知度も広げるために月に2回開催、フライヤーを配下してくれる場所も開拓しながら…という、エネルギーのかけようでした。

2019年6月、2回目の開催時の出店は5店舗

 

回を重ねるごとに、出店に手を挙げてくださる出店者さんも少しずつ増え、マーケットを目的に来てくださるお客さんも増えてきました。出店応募数は、コロナ禍前にはすでに選考を経るほどになり、開催日は100台近くある駐車場が満車になるほどの来場者数にまでなりました。特に5年目を迎えた今年は、出店応募数もこれまでで最多、延べ100店舗以上の応募から、毎回15店舗前後を選出させていただきました。そういった数の変化はもちろんですが、その背景にこそ、マーケットの企画としての成長を感じています。

それは、マーケットが、企画者以外の人によって”勝手に”広がっていくようになったことです。
初期を振り返れば出店者集めも、来場者に向けた告知・広報も、かなり力を入れて取り組んでいました。SNSで広告を出すなど、広報にも費用をかけていた時期もあります。一方で現在は、広告費として出しているのは、フライヤーの印刷代くらいです。

広告費をかけなくても、出店応募が増え、来場者数もイベントの規模を上回るようになった。その背景にはもちろん、常設店であるカフェ(Cafe&DinngSan)も一緒に成長し人気店となったこともあります。ハレの日にだけ人が集まるのではなく、いつもの日常の中でファンを増やし、ハレの日に「マーケットがあるならカフェにも行こう」「カフェに行くならマーケットの日にしよう」と選んでもらえる場所になりました。そしてそのことも含めて、マーケットは勝手に広がっていくようになりました。

もう少し具体的に言うと、

  • 出店者さんが出店者さんやお客さんに、広報してくれるようになった
  • お客さんが常連になり、自ら情報発信をしてくれるようになった

これに尽きます。現在、新たに出店応募してくださる方のほとんどは、過去に出店経験のある方が出店している情報を見て、(出店歴のある方に)おすすめされて、などがきっかけです。また、毎年初めにその年のフライヤーをつくると、出店者さんが自ら「他のイベントや店舗で配るので数十枚ください」などと名乗り出て配ってくださいます。日頃の開催に関するお知らせなども出店者さんが自身のアカウントでシェアしてくれたりと、出店者さん自身がマーケットを推してくれる、と言うのは最大の広告になっています。

さらに、マーケット開催日前後には、お客さんが「明日はマーケットに行きます!」「マーケットでこれを買いました」などとSNSに投稿してくださることも毎回です。特に常連のお客さんは、出店者さんともつながり、私も知らない間にお客さんからのオーダーを受けて商品化した作品が生まれていたり、前回のマーケットで注文したものを次回受け取りに来るからがおられたり、「◯◯さんのサイドメニューが実は美味しいんですよ!」などの玄人情報を教えてくださったり。楽しみ方をお客さんが自ら見つけて楽しんでくださる、というのも企画者としてとても嬉しい状況です。

 

企画者・運営者として、目指してきた風景

まずは、そもそもの企画の意図でもありますが、にぎわいを生むこと。それは、バラエティ豊かな出店者さんに「出店したい」と思っていただける場であることはもちろん、1人でも多くのお客様の来場を目指すことも大前提です。天候や、他のイベントも被りやすい行楽シーズンなどの影響によって来場者数が少ない時は、胃もキリキリしますし、出店者さんに対しても申し訳ない気持ちになります。出店者さんは気持ち良い方々ばかりなので、多少来場者数が少なくても「その分お客さんとゆっくり喋れました」「私ももっと集客に貢献できるように頑張ります!」などと温かい言葉をくださるのですが、このマーケットに出たいと手を挙げて当日まで準備してくださっている出店者さんに対して、主催者として1円でも多く売上を作っていただける場を用意するのも責任だと考えています。

しっかりと賑わう場を作り、その中でお客さんたち自身が楽しみ方を見つけられるように、出来るだけ多くの出店を回って楽しんでいただけるように、事前にSNSで全出店者さんを紹介したり。また現在は1Fだけでなく2Fにもワークショップ会場を設けているので、いかに動線を2Fにまで伸ばすかということも出店者さんと一緒に策を練ってきました。実際の場ではお客さんに2Fの会場にも足を伸ばしていただけるように誘導となる矢印を廊下に貼りつけたりと、試行錯誤しながら常に今回の反省を次に活かすということを地道に続けてきました。

 

そして、お客さんはもちろんのこと、出店者さん自身が楽しめる場であること。これもマーケットの賑わいを継続させていくために欠かせないポイントです。開催日は、カメラを片手に会場を回っているとたくさんの出店者さんの笑顔を見ることができます。ほとんど皆勤賞で来てくださる常連のお客さんに言われて嬉しかった言葉で「このマーケットは、出店者さんが楽しそうだから雰囲気が良く、お客さん側としても楽しい」と伝えていただいたことがあります。出店者さんに楽しんでいただくために、事前の準備はもちろん、当日も出来るだけ皆さんに気持ちよく楽しんでいただける心遣いを忘れないように心がけています。

 

続けること、マーケットのこれから

出店者を募り、お客様が買い物やワークショップ、食事などを楽しめる”マルシェ型”のイベントを開催するには、幅広い知識と経験とセンスが必要です。一言に「こうすれば上手くいく」というノウハウはありません。その中でも、知識と経験とセンスさえあれば上手くいくかというとそうでもなく、最も大切なことが”続ける”ことだと感じています。と、偉そうに言いますが、実は何度も「もうやめた方が楽だな」と思ってしまうことはありました。最近はなぜか2年連続晴れ続きで苦労することが減りましたが、初期は雨や台風、雪などに悩まされ心が折れかけたり、コロナ禍で中止にした時もこのままこっそりやめてしまうこともできるなと考えがよぎったことも。

でも、続けてきた今は、定期的に続けてきたからこそ作れた風景があると強く思います。

続けることで得たこと。それは、マーケットを日常の風景にできたということです。今では、鳥取県内で「隼Lab.」という名前を出すと「マーケットやってるよね」「イベントがいつも楽しそう」などとイメージを持っていただけるようになりました。月に1回の風景が、日常の風景として記憶していただけるようになった。それは実際の風景にも現れていて、例えば子どもたちが自然にその中にいるということは特にそれを強く感じる瞬間です。

今年11月のマーケットでは、おばあちゃんが編んだ帽子を売る小学生出店者も飛び入り参加しました。これには、主催者としても思わず腕まくり。商品の並べ方をアドバイスしたり、鏡があった方がお客さんが試着しやすいよね、などと一緒に売り方を考えたりととても楽しい時間になりました。一つ2,000円の帽子が4つで8,000円の売り上げ。売り上げは全額おばあちゃんに渡すとのこと。

近所の子どもたちが、体育館に遊びに来たついでにマーケットで焼きそばを見つけて、お昼ご飯を済ませていったり。

さらに、先日開催した2023年最後のマーケットでは、まさにこれまでの集大成のような風景を見ることができました。

マーケット初の音楽分野での出店。音楽家のやまもとあつしさんによる弾き語りライブを、1Fにあるショップ「だ菓子とドーナツと本の店 ポトラ」店内にて開催した時の様子です。なんとわざわざ東京からいらっしゃった方、最前列で歌に合わせて手を叩いて楽しむ子どもたち、奥では店員も耳を傾けています。

さらに、午後の回では、だ菓子を買いに来た中学生・高校生の男の子たちも足を止め、近所に暮らす住民の方も聞きに来てくださったり。まさにこの場所にある日常の中に、マーケットが溶け込んでいることを改めて実感でき、少し泣きそうにもなった風景でした。

ここまでつくりあげてきたマーケットも、来年で6年目に突入します。これからも、続けることは第一に大切にしたいことです。そして、また新しい風を吹かせていくことにもチャレンジしたいと考えています。具体的には、メインの運営担当者が、私諸岡から、2代目コミュニティマネージャーの“みどぱ”こと山﨑みどりさんへ代替わりします。(私もサブとしてサポートは続けます!いなくなるわけではありません!)

ここまで育ててきた企画を引き継ぐ時が来たら名残惜しいだろうなぁなどと想像したこともあったのですが、実際にそのタイミングを迎えた今は、不思議と清々しく次のステージを楽しみに思う気持ちの方が大きいです。それは、私自身がマーケットによって成長させていただけたからだと思います。マーケットを通して出会えた出店者さん、お客様、体験できた景色。私自身の次のステージとしては、これをこの場所・この企画だけで終わらせずにより可能性を広げていくことが目標です。

新たな担当者によってさらに成長していくマーケットと、新たな広がりをご期待ください。

来年度のマーケットは、4月からのスタートを予定しています。少し時間が空きますが、出店者さんやお客様たちとの再会や新たな出会いを楽しみに準備を進めます。はやぶさにちようマーケットを、今後ともよろしくお願いいたします!

 

最後に、ひっそりとお気に入りの、毎回恒例「朝礼」時の写真を。
ここから始まるマーケットの一日を、5年間続けてこれたことへの感謝を込めて!